おわりはじまり

2010年06月30日 23:47

2010FIFAワールドカップ南アフリカ
パラグアイ 0 - 0(PK 5 - 3)日本 プレトリア/36,742人



パラグアイ戦




なんていうか、不思議な2週間を過ごさせて貰った。



久々に沸点に達した自分自身のサッカーへの熱と、
普段サッカーに興味の無い周囲の人々を巻き込んだ一時的な熱が交じり合い
フワフワとした、何か長いお祭りのような感覚が続いていた。



そして、それは敗戦した翌日になってもまだ余韻として続いている。
結果は残念だったけれど、こんな感覚は2002年以来である。
しかも、その幸福感は前回よりもずっと濃い。



結果は2002年と同じベスト16である。
確かに自国開催以外ベスト16、という要素があることは否定しない。
最初はそう思った。
けれどここまでの4試合を観て、陳腐な言葉で恐縮だが
試合中の選手の気迫に、自然と代表への思い入れが強くなったことの方がより大きい。
そして更に言えば、2006年とは違いひとつの「チーム」として機能していたこと、
それが見ている側に分かりやすいほど伝わってきたこと。
(カメルーン戦の本田のベンチダッシュだったり、国家斉唱での肩組だったり、
ベンチウォーマーの表情だったり、岡崎への松井のケリだったり)
僕は単純な人間なので、そういう絵を見せられると更に感情移入してしまう。
そして本当に良いチームだったのだな、と改めて思う。



この日の試合は実に膠着した状態が続き、前半は柔道で言えば
組み手争いをずっと続けていた印象である。
それでもパラグアイは何度かエリア内に進入してはあわやのシーンを作るも
そこは中澤・トゥーリオ、川島がしっかりと体を張れていた。
一方日本はしっかり引いたパラグアイに対しては中盤への進入を許してもらえず
ロングボール主体となり、たまにカウンターを発動しても枚数が足りず
ミドルシュートを打つのが精一杯だった。
頼みのFKも、パラグアイは危険なエリアでのファールに細心の注意を払っており
チャンスは少なかった。



お互いがお互いをリスペクトしており、後半も緊迫感のある試合展開が続き
息を呑むようなジリジリとした攻防が続く。
後半も中盤が過ぎ、中村憲が入った辺りでリズムが変わり攻撃が活性化されたものの
パラグアイのブロックは固く、崩すには至らなかった。
結果、90分+延長戦も得点は入らず、PK戦でパラグアイが勝ち上がることとなった。
残念な結果だったし、日本がベスト8に行ってもおかしくない内容だった。
但し、今回はここまでだったのかもしれない。



カメルーン戦やオランダ戦と絡め、このパラグアイ戦を「守備的」という
一言で片付け戦い方を批判する人もいるだろう。
その批判自体は否定しない。実際僕も超攻撃的なバルサのサッカーの信奉者であり、
モウリーニョのチェルシー・インテルでの戦い方は好きではない。



けれど、それをもってこの4試合の価値を否定するような人がいるとしたら、
それはあまりに「サッカー的」では無い、と言える。
杉山某とかいう「自称サッカー通」は各所にて、
「ワールドカップは品評会としての側面を持つ」「負け方が大事」等と
「それがサッカーの世界基準」とか噴飯ものの持論を展開していたが、
世界のどこの誰に聞いたって、ワールドカップにおいて何より優先すべきは
「結果」と答えるに違いないのだ。
それこそが「サッカーの世界基準」じゃないのか?



「品評会としての側面を持つ」ことは否定しないが、それは優先すべきことではない。
パラグアイ戦は確かに結果を得ることは出来なかったが
南米予選2位だったチームに得点を与えなかったのである。
それに何度もピンチに体を投げ打って防いだ中澤の姿を見ていたとするならば
この試合の価値を貶めることはありえない。



だから徹底して相手を研究し、自らのベストを探り、一定の結果を得ることに成功した
今回の日本代表を心から誇りに思う。



そしてPK戦で駒野がバーに当てた時、センターラインで見守っている選手は殆ど動じてなかった。
そんな選手達を気持ちの強さを誇りに思う。



今大会の日本代表は大きく成長した。
組織的に守ることは出来るようになったことは大いなる進歩だし、
走り負けないことや試合中に選手同士でゲームをコントロールできるようになったことは
これからの代表の一つの「基準」となることだろう。




一方で技術的な課題も改めて明らかになった。
世界の強豪相手に現実的な守備的戦術を取るのであれば、
カウンターで攻めきることが出来なければならない。
以前から指摘されている通り、ここの攻守の切り替えの意思統一がイマイチなのだ。
オシムさんの言う「リスクを冒す」かどうかの見極めも大事だし、
もっとフォローも含めスピード感が無いと、攻めきることは出来ないだろう。
韓国はここが出来ていたから、あれだけインパクトを与えることが出来たのだろう
(一方で守備がグタグタだった分、思っていた程の結果は得られなかったようだが)。
そして個の技術の未熟さも改めて浮き彫りになった。
しかしそれは、次の監督だったり、協会の育成課題とすべき事柄である。




改めて岡田監督及びスタッフ、選手達には今年に入ってからの批判、苦言の数々
を思い返し、謝罪したい。
本田が「応援だけでなく批判してくれたことを感謝している」と言ってくれたようで
多いに救われた気がしたが(しかしこの若者の発言は短期間でなんと成長したことだろう)。
そして、この夢のような2週間、大いに楽しませてくれたことに
心から感謝したい。
あなた達のお陰で、日本が少し明るくなった気がするよ。
そして2002年のような、世間におけるサッカー熱も少し戻ってきた気がする。
それは、代表人気の低迷を一身に背負わされてきたあなた達が
自らの力で取り戻したもの。
サッカーに少しながら関わっている人間として、
その点においてもありがとう、と言いたい。



日本代表の冒険は終わってしまったが、ワールドカップはいよいよ佳境に入る。
そして、ワールドカップが決勝戦を終えたころ、フットボールは又僕らの身近な場所に
それぞれ舞い降りてくる。
そして、それぞれの持ち場で次なる闘いを迎える。
僕らが観る舞台、それは欧州なのか、南米なのか、中近東なのか。
Jか、それともJ2?
はたまた地域リーグだったりして。
今日の終わりは、明日の始まりなのだ。



フットボールは続く。
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