「ゴールデンスランバー」

2012年09月18日 22:22

映画「ゴールデンスランバー」
(2010年東宝)


WOWOWで週末録画して鑑賞。




伊坂幸太郎原作、以前見た「アヒルと鴨のコインロッカー」と雰囲気が似てると

思ったら監督も同じ中村義洋。これがこのコンビの3作目だったらしい。




「アヒルと鴨の~」を見た時も、「重力ピエロ」の原作本を読んだ時も思ったが

一連の伊坂作品が、中村監督の作風が纏っている雰囲気の波長が私には合うのだろう。

エンディングロールを何とも言えない切なく、甘酸っぱい気持ちでボーっと眺められる、

そんな作品だった。




あらましとしては、主人公演じる堺雅人は国家権力の陰謀により首相暗殺の爆弾魔にしたてられ、

大学時代の友人達との再会や新たな人達との出会いを経ながら、舞台となる仙台市内を逃げ回る

2日間のストーリー。



・・・と簡単に書いてみたが。

原作はかなりの長編とのことで、各登場人物の背景や肝心な首相暗殺の首謀者や

警察権力等の事情についてはかなり省かれていることが想像され、ストーリーはかなり無理がある。

伊坂作品の醍醐味である「数々張り巡らされた伏線をエンディングで一気に回収!」w

という点においては、「アヒルと鴨の~」に比べると深みが無く、そのせいかエンディングに向けての

流れが若干詰め込み過ぎな感も。

一つネタバレ承知で言えば、何故かつての恋人二人は同じタイミングであの思い出の車に向かったのか?

は唐突過ぎて良く理解出来なかった。あんな大昔から廃車となっている車をわざわざ動かそうと思うのに、

あの程度の過去の描写では物足りない。





でも、そんな細かいことはどうでもいい。

大体首相暗殺、国家権力の陰謀から逃げる為のツールが徒歩か宅配便か数十年前のボロ車。

そのストーリーから想定される様な緊迫感とは程遠く、逃走しながらも大学時代を回顧しては

「黄金のまどろみ」を噛みしめるシーンの多さや、主人公を追う警察の黒幕(特に永島敏行が秀逸)

や逃亡の協力をしてくれる連続通り魔犯、最後に恩返ししてくれる整形アイドル

といった設定も含め、この映画はメインのストーリーを彩る青春回顧やコメディに

十分な魅力があるし、この映画が持つメッセージはそっちがメインなのだ。



最終的に主人公にとってのハッピーエンドは無かったけれど、良い思い出であった

「黄金のまどろみ」に別れを告げ、そこから一歩踏み出して新しい自分を見つけたことで

ストーリーはしっかり完結している。

最後のシーン、エレベーターを降りた後の竹内結子の娘とのやり取りは感動的だった。




最近この手の映画に弱い。

以前ハマった「ソラニン」もそうだし、伊坂作品全般に言えるのだが

大学時代とか、社会的モラトリアムの時期を終える直前の頃のだらしなくも

希望に満ち溢れた頃を思い出させる様な作品を見ると、作品に浸ってしまう。

そしてストーリーのキーワードが音楽であることもまたその思いを更に深い

ノスタルジーの世界に連れて行ってくれる。



私も先日の誕生日でついに40台手前まで来てしまった。

大学時代の友人は皆東京で、殆ど会うことも無ければ電話で話すようなことも無い。

だけれども、会えば一瞬で当時と何も変わらずに接することが出来る。

映画の冒頭で主人公と吉岡秀隆が再開するシーンの様に。

(もしかすると、先に書いた車の件もその手の表現方法だったのかもしれない)




そんな仲間達とは離れて札幌に永住を決めつつ、今の家族中心の生活に満足しているからこそ

青々しいかつての思い出をたまにこうやって振り返りたくなるのかもしれない。




タイトルである「Golden Slumber」はBeatlesのラストアルバム

「Abbyroad」より。

「アヒルと鴨の~」ではBobDylanの「Blowin' in the wind」が

ストーリーの一つのキーワードでしたが、その他の伊坂作品も必ず

往年の名曲が物語に織り込まれており、それも魅力の一つですね。



今日は休み明けで仕事もしんどい一日でしたが、昨晩観たこの映画の幸せな余韻で

何とかやり切りました。



やっぱりサッカーからもこういう幸せを貰って、一週間の糧にしたいなぁ(遠い目)。。。
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